人気ブログランキング | 話題のタグを見る

室町時代の大溝と礎石

 同志社大学歴史資料館が上京遺跡・新町校地遺跡で行っている発掘調査は佳境を迎えつつあります。
 現在、第5遺構面の室町時代を中心とした遺構群の検出作業中です。黄色粘土を中心とした基盤層上面に掘りこまれた遺構を埋めた黒色~褐色の土が見えてきました。この黒色・褐色土が室町時代の遺構の埋土です。下の写真に緑色で指示した部分は幅3~4m程度の東西方向の大溝です。実は現在の調査区の西隣の地点を約20年前に発掘した際に、この延長線上に同じような大溝が検出されています。その際には出土した土器から南北朝期(14世紀後半・室町時代前半)の上立売通にともなう溝だと推測されていました。その溝が今回の調査地点までまっすぐ伸びてきていることが確認されたのです。もちろん遺構内埋土を掘削しないと既往の調査の大溝と同時期で連続した遺構か否かの確定はできないのですが、その可能性は高まってきました。
 また、この大溝埋土の上面には、方形の礎石がみつかっています。この礎石の7.2m(4間)東にも大型の礎石がみつかっています。おそらく南北朝期の大溝が埋まった後に、この上にかなり大型の建物が建てられたと考えられます。つまり室町時代後半の近衛家邸宅はそれまでの敷地を北へ拡張して上立売通りを狭めてできたのではないかという推測もできます。
 もちろん、これらの遺構をきちんと掘削して、出土遺物や堆積状況を確認しないと確定的なことは言えません。しかし、今後の調査の焦点の一つが明確になってきました。


室町時代前半の大溝とその埋土上におかれた礎石(下写真・緑色の部分が大溝の埋土・調査区北側から撮影)
室町時代の大溝と礎石_a0382672_10001552.jpg

by chienkan19 | 2022-05-19 10:12