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室町時代の石敷と溝


 上京遺跡・新町校地遺跡(同志社大新町キャンパス・育真館地点)の調査は、いよいよ室町時代の遺構面へとすすんでいます。
 写真は、調査区北東部つまり上立売新町の交差点に近い地点で検出されている遺構です。遺構を北側から撮影したものです。一辺約0.3~0.4m程度の平たい石を南北約4m・東西約3mの範囲に石を敷き詰めた遺構がみつかっています。その西辺は南北方向に幅0.5mほどの溝状に敷石のない部分があります。南北方向の石敷溝の東岸(写真では左側)に広く石を敷き詰めているともいえるでしょう。この遺構の南側(写真奥)と北側(写真手前)はのちに設けられた石組み井戸によって壊されていますが、この石敷きを覆う土層からは中世後半を中心とした土器片が出土しています。現状では室町時代の遺構と考えられます。
 室町時代の当地点は、最高格の公家である摂関家の近衛家の屋敷であったことがわかっています。16世紀の洛中洛外図屏風には「近衛殿」「このゑとの」などと書かれ、その後の複数の絵図などには「桜御所」ともあり、華やかな邸宅とみられていたようです。この石敷き+溝状遺構は、中世の近衛家屋敷の施設であった可能性が高いでしょう。遺構の機能や性格は不明ですが、注目されます。


写真 室町時代の石敷と溝(南側・写真奥、北側・写真手前の二つの石組み井戸が石敷きを壊して後から設けられている)
室町時代の石敷と溝_a0382672_11291108.jpg

by chienkan19 | 2022-04-20 11:47